札幌市は、その独特の気候と風土を活かして多様な産業が発達している地域である。四季がはっきりとした気候で、特に冬は長期間にわたって雪が多いことで知られている。この厳しい冬の気候が観光業の発展に大きく寄与しており、札幌雪祭りをはじめとする冬のイベントが国内外から多くの観光客を引き寄せている。雪と寒さという自然条件を逆手に取った観光資源が、札幌市の地域経済を支える重要な柱となっているのだ。
札幌市の豊かな自然環境は農業の発展にも恩恵をもたらしている。北海道全体では、ジャガイモやトウモロコシ、乳製品が代表的な農産物として知られており、札幌近郊でもこれらの生産が行われている。しかし、札幌市自体は都市部であるため、むしろ周辺地域で生産された農産物の流通拠点としての役割が大きい。この農業の発展は、食品加工業や飲食業といった関連産業の成長にも寄与しており、地域経済の多角化に貢献している。
札幌市は教育・研究の拠点としても機能しており、これが技術系企業の誘致につながっている。特に情報技術やバイオ技術の分野では、札幌市が積極的に企業誘致を進めており、IT・コンテンツ・バイオ立地促進補助金などの優遇措置を設けている。札幌テクノパークには地場のソフトウェア企業や大手IT企業の開発センターが立地し、バイオ関連企業向けの研究開発施設も整備されている。また、札幌は日本有数のビール産地でもある。1876年に設立された開拓使麦酒醸造所を起源とするサッポロビールの歴史は長く、現在でも豊平川の地下水を使用してビール製造が行われている。このように札幌市は、自然環境や気候の特性を活用し、それを強みに変えて多様な産業を育んでいる都市なのである。